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『コクリコ坂から』を見てきました。

07 21 *2011 | にちじょう

一度目は一度きりしかない。
ひさびさに、それを実感させられる物語でした。
どんな作品をなんどリピートするにせよ、その作品をはじめてみる瞬間は一度きりしかない。
ねがわくば、もういちど昨日のわたしにもどって、まっさらな気持ちで、また、この映画の一度目を見たい。

東京オリンピック前年。高度成長期まっさいちゅうの日本。元気に生きる市井の人々のなかにも、わずかながら戦争のかげりはまだ残る。
そんななかで日々を誠実に、青春をまっとうに過ごした人の物語でした。

まっすぐに、人のきれいさをぶつけてくる作品に久々に出会いました。めちゃくちゃなくくりにすると『君に届け』系です。現実に生きると、大人だけでなく高校生も、いや、小学生、幼稚園児にすらしがらみがある世界。そのなかにあって、きれいなものだけを切り取って、嘘みたいにきらきらの世界を見せてくれる作品というのはファンタジーだからこそ成立している。そう、こんなきらきらな青春は、現実にはありえないことなのです。だけど、あたかもみずからがその舞台世界に入り込んで追体験しているような気持ちになるのは、たしかに、わたしたちがあの気持ちを持ったことがあるからじゃないでしょうか。現実に追われながらも、必死になった気持ち。体験は個々違えども、根底で共通しているのは、わたしたちにも青春はあった、という事実です。その気持ちを重ねあわせると、不思議と、過ごした時代も過ごした友だちも町も景色も違うのに、まるでもうひとりの自分が、スクリーンのなかで胸をふるわせているような気持ちになります。

わたしはこの物語の原作を知りません。だから、本屋に行って文庫をチラっと立ち読みしてみました。未読なのでなんともいえませんが、ベースだけ踏襲して、話やキャラクターはずいぶん違うように見受けられました。買おうかな、と思ったけれど、わたしはこっちの世界(映画)をもうすこしの間大事にしたいので、原作本はしばらくのあいだ読まないでいると思います。

早起きをしてちゃんと朝ご飯をつくって、昼はまじめに仕事(勉強)をして、夜は団らんをたのしみ、更けたら布団に入る。
そういう、あたりまえでまじめないとなみというのが、どれだけ大事なことか。
これは、時代を超えて大切なこと。
自堕落な時代を過ごしたことがあるからこそ、この大事さがまた沁みる。
この夏、見てほしい映画です。
汚れた大人に、おすすめです。

10:28

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