なんというお久しぶりでしょう。
安心してください。生きてますよ!!
この数ヶ月、なにをしていたかといいますと、仕事したりダイエットしたりしていました。
あと、お菓子たべたり。(ダイエットと両立させてる器用なわたし)
まあ、通常モードですね。
最近はむかしにくらべて、テレビばかり見るようになりました。
以前は1日1冊とか本を読む生活だったんですが、近頃はめっきりテレビっ子に。
テレビって人をだめにしますね。
ものを考える力や、なにかに向き合う力を奪い取られるというか。
否定はしませんが、今年はすこしテレビから離れようと思います。
さて。新年初ライントークは、あの、びびはらせんせいとほんのちょっとの時間、若王子せんせいの妄想話をくりひろげました。
まあ、わたしの過食をびびはらがせせら笑い、ぷにぷにしてたら先生につかまれるぞ、みたいな話からああ、それも悪くないね、みたいな流れに。
びびはら先生は変態なので『先生が柔らかいものと戯れていたら、それが腹肉でもそれはそれでいいね』みたいなキチ発言してました。
でも、腹肉をぷにぷにする若王子せんせいもほんとうにすてがたい。
というか、あの人はほんと、オールラウンダーすぎておそろしい。
というわけで、びびはらさんに贈るぷにぷに話です。
短いけど、お年玉ね。
たたんどきましょう。
さて。では、今年もよろしくお願いします!
ぷにぷに狂想曲
「あれ? 海野さん、ちょっと太った?」
えぇ!? 久しぶりに会ったというのに、若王子先生ときたら、なんてこと言うんだろう。
今年はおばあちゃんの家に行ったから、先生との初詣デートはできなかったし、陸上部もお休みだった。
だから、こんなに会わなかったのはとっても久しぶりだ。
その間、実はたしかに、2キロ太った。だって、おばあちゃんの家のご馳走は美味しかったし、部活もお休みで運動不足気味だったし。
でも、久々に袖を通した制服のワンピースはべつにきつくはなかったし、姿見に映った自分はそこまで変わったように見えなかったから、平気だと思ったんだけどな。
それに、今日はすごく寒かったから、学校指定のカーディガンも着ているのに、どうしてわかってしまったんだろう。
時折みせる先生の鋭さには、ほんとうにびっくりしてしまう。
「うぅ、おっしゃるとおりです……」
上目遣いでちらりと見る先生はあいかわらず、すらりとして、かっこいい。お正月太りなんかとは無縁な、かろやかな姿だ。
別に、わたしは先生の外見だけが好きなわけじゃあない。でも、なんの奇跡か、せっかく先生がわたしを選んでくれたのだから、この、冬の空気のように凛とした人の隣にすこしでも釣り合うような自分でいたい。
うん、やっぱり、このままじゃあだめだよね。せめて元どおりにまで痩せよう。
先生に頼まれた冬休みの宿題の回収分をデスクのはじっこに置きながら、ふうっと一息、ため息をつく。
「じゃ、ここ、置いときますから、」
そう言って、踵を返そうとした瞬間。
「あ、海野さん待って。今、コーヒー淹れてるんです。おやつもありますよ」
「へ?」
「実は、冬休み中に、はばたきスーパーで極まろクッキーなる新作お菓子を見つけたんです。これは海野さんと食べないとと思って、買っておいたんです」
先生ったら、こんなタイミングでなに? さすがに今日はお断りしよう。
「……わたし、しばらくダイエットすることにしますから、今日はちょっと」
「え? 急にどうしたの?」
きょとんとした顔も素敵だなあ。じゃなくて。どうしたのじゃないよ、先生のとうへんぼく!
「体重、元に戻るまで、わたし、しばらく、おやつ禁止にしますね」
「え?」
「だから、先生とのデートも、しばらくなしです」
だって先生とデートしたら、はばたきウォッチャーに載ってたとかで流行りのカフェだとかレストランだとかに連れ回されるもん。それに、ときどーきではあるけど、場合によっては、おなかをみられちゃうようなシチュエーションにならないとも限らないし(どういうシチュエーションかってのは、その、察してください)。
「と、言うわけで。失礼します」
くるり。先生に背中をむけて、取っ手に手をかけた瞬間だった。
「わぁぁ、先生!?」
ちょ、ここ、学校だし。背中から抱きついてくるとか、なしでしょ?
「あ」
あ?
「思った通りふわふわしてます」
……!?
「セ、セクハラ先生!」
「そうかな? セクハラはされたほうの受け取り方です。海野さんは、僕にこうされて嫌?」
もうやだ、この確信犯。わたしが本気で嫌がるわけがないことを知ってて、こうするんだもん。薬品とお日様のまじったような、いつもの先生の匂いが耳元からふわりと漂ってきて、ドキドキするのになんとなく、安心もするみたいな……。
「あ、静かになった。ほんとは好きなんですよね?」
そんなこといちいち聞くなんて、先生のいじわる。
黙り込んだわたしに気を良くしたのか、先生は少しだけ、腕の力をつよめた。
「久々の海野さんです。もう少し、充電してていい?」
この流れは、たとえわたしがダメと言ったところで、なんだかんだと言いくるめられて納得させられちゃう時のパターンだ。なら、もう、口ごたえしないで先生のいいなりになるほうが消耗も少ない。
それに。わたしだって、やっぱり先生にこうされてるのは、幸せだし。
「冬休みのあいだ、海野さんに会えなくて寂しかったです」
先生が低い声で、ささやく。
「……わたしも」
なんとなく、恋人ムードが高まってきた。
「ほんと? 僕のことなんて忘れてたんじゃない?」
「そんなわけない。初詣デートだって、したかったし」
「僕のほうがずっとずっと、したかった」
「先生……」
「このうえ、コーヒーもデートも断られたら、僕、君になにするかわかりませんよ?」
「へ?」
「たとえば……こんなこととか」
「……!? ワァァァァァ!!!!」
い、いきなり、いきなり!! おなかのお肉をつかんで、ぷにぷにするとか、ひどすぎる!
一瞬高まったムードはなんだったのー!
「ちょ、離して、先生」
「だめです。離しません」
ええ、なに、どういうこと!?
「あぁ、海野さん……」
ちょっとおおぉ。やめてぇぇぇぇ。誰か……誰か来て……! って、くるわけないか。始業式の日の化学準備室なんて、わたし以外に誰も用事があるわけもない。
海野あかり、絶対絶命。
ぷにぷに、ぷにぷに。先生の指が、手のひらが、わたしのお肉をつまんだり、撫でたりしている。
情けないやら、恥ずかしいやら。いたたまれないというのは、このことだと思う。
「あの、あの、せ、ん、せ、い!!」
「なんですか? 海野さん」
先生ったらうっとりとして、甘い声をだしながら、ぷにぷに、ぷにぷに。
「ほら、コーヒー! ご馳走になりたいです!」
「そんなの、後でいいです……」
わーん!!
「デートも、しますからぁ!」
「……ほんと?」
「はい、はい!」
だから、そのぷにぷにやめてぇ。
「次の日曜日ですよ?」
「はい!」
「僕のうちでいい?」
……へ?
「僕のうちに来てくれますね?」
「……ええ!?」
「約束してくれないと、離しません」
ぷにぷに、ぷにぷに。
ぷにぷに。ぷにぷに。
もう、いやだぁ!!
「行きます! 行きますからぁ!!」
もはや絶叫に近い声を出す。
「海野さん、約束ですよ?」
「はい、だから、離してください」
「……あと1分だけ」
「いますぐ! 離してください!」
「……じゃ、コーヒー淹れますから。極まろクッキーももちろん、食べますよね?」
うっ、いらない……。でも、ここで断ったら、またぷにぷに攻撃がはじまってしまうかもしれない。
「……はい」
「ん。よいお返事。いい子です。じゃあ名残惜しいけど、続きは日曜日にね」
ようやく力のゆるんだ先生の腕の中から抜け出しながら振り向いてみると、新年早々、神々しいくらいににこやかに微笑む先生と目があった。
うぅ……。先生、そんなにわたしのぷにぷに、気に入ったのかなぁ。
次の日曜日、先生のおうちってことは、とうぜん、狙いはわたしのぷにぷにってことだよね。
こうなったら、思い通りにはさせないんだから。
週末まであと3日。絶対、絶対、やせてやる。
※※※※※
だけど、当然、3日で2キロなんてなんとかなるわけもなく。
久々のデートは、わたしにとってはさんざんな、先生にとっては至福の、ぷにぷに三昧な1日になったのだった。
先生って、実はぷにぷに女子好き?
「ちがいますよ。君だったら、どんな姿でも愛おしいんです。なんなら、もっと太ってもいいですよ?」
……とろけるような表情でぷにぷにしながら、優しい声で甘くささやく。まったく、もうっ。先生の、とうへんぼくっ!
おわり