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ホワイトデーに関連する小話なのにまったく関連していない件について

03 14 *2015 | ときメモ::てのひら小話

ホワイトデーですね^^
脳内では若王子先生とのあらゆるロマンスを繰り広げたはずなんですが……ちょっとわたしには出力する能力が足りませんでした。
ほんとは、こっくりとえっちなかんじのテキストを書きたかったんですが、体力がなくてこれも無理でした……(えろいこと書くときはすごく消耗するんです。たぶんカロリーすごくつかってると思う……ハッ、エロテキスト作成ダイエットとか、考案してみようか!?)
ロマンスでもなく、エロでもなく、さらにいえば、ホワイトデーでもない……
しかし、かすかにロマンスで、うっすーらエロで(年齢制限8歳くらい 笑)、かする程度に3月14日なテキストをささっと書きました。
どうでもいいけど、若王子成分が足りない。
ほんとに足りない。
これ以上不足が続くと、刀で散財しちゃうぞ!?

刀剣……まだ課金には手をだしてませんが、ほぼはじめてとも言える巨大ジャンルです。
次から次に発売されるグッズたちが……ちょっと気になる笑
GS2ですら、あんなにグッズを忌避してたのに……><。
あ、今日さにわレベル99になりました。45日目のことでした。

ではでは。
たたんだ先は貴文さんとあかりさんが仲良くしてるお話です。
このふたり、そろそろ結婚するらしいよ? みたいな時期の。


続き



はるはあけぼの(仮題)



……眠れない。
普段はそう寝つきが悪いほうでもないけれど、こうして、数ヶ月に一度、ガンとして眠れない夜がくる。
いつもなら、そう慌てることもなく眠ることをあきらめて小説を読んだり深夜のテレビを見始めたりするのだけど、今日はそんなわけにはいかない。
なぜなら、恋人の家にお泊まりをしているからだ。
さらにいえば明日は、二人で少し早起きをして少し離れた街まで買い物に行く予定にしている。
ようは、段取りとしての前泊なので、ここで眠れずに、明日、寝不足になるなんてとても困る。
隣を見ると、恋人は気持ちよさそうにくーくーと小さな寝息を立てて眠っている。
その安らかなリズムを壊さないように、わたしはそっと布団から抜け出して台所に向かった。

(気分転換になにか飲もうかな)
コーヒーはさすがにダメ、だよね。
そうだ、たしか、ミルクがあったはず。夕べ、夕食を作ったときに冷蔵庫でみたのを思い出す。
音を立てないように、そうっと冷蔵庫を開けて、ミルクを取り出す。
もちろん、電気はつけられないから(恋人の部屋は今風に言えば1DK、でも、そんなカッコいいものじゃなくて、築40年にもなろうかという和風のアパートで、台所と居住スペースはのれんでしきってあるだけだ)窓から入る青い街灯の灯りをひろって、マグカップを用意する。
(たしか、ミルクには安眠成分が入ってるって聞いたことがあるし)
そう思って、ミルクを七分目についだカップに口をつけようとした瞬間。
「あかりさん?」
恋人がわたしの名前を呼びながら、台所にあらわれた。

「あ、貴文さん」
「あ、貴文さん、じゃないです。こんな時間にどうしたの?」
「ちょっと眠れなくて、なにか飲もうかなって」
「眠れないの? めずらしいね。電気、つけてもいい?」
そういいながら、貴文さんは電気のヒモをぷちんと引いた。
ニ、三回またたいた蛍光灯は、一気にこの場面を照らし出す。
そして、わたしは、貴文さんのあまりの格好に思わず笑ってしまった。
頭はボサボサ(サイヤ人もびっくり)パジャマの上着は第三ボタンまで外れているし、ズボンはだらしなくずりさがって、パンツ(トランクス!)の模様が見えている。
急な明るさに目をしょぼしょぼさせている姿は、とてもあの「学園の真のプリンス」だなんて言われている人と同一人物だなんて思えない。
貴文さんのおうちにお泊りするのは、はじめてじゃない。というか、月に二回くらいは来ているのだけど、そうするようになってからはまだ三ヶ月くらいだ。
朝の起き抜けの姿を見たことはあってもそのときはもう、活動前提で動きはじめているから、こんなに無防備な感じじゃあない。
「貴文さん、すごいカッコ」
そう言って笑うと、「やや」といって、恥ずかしそうに頭に手をやる。
そこで今度は髪の毛の状態に気づいたのか、あわててなでつけようとするから、わたしはますます笑ってしまった。

二人でミルクを一杯ずつのんだら、空になってしまった。
「明日の朝、猫たちに怒られるかな?」
そんな優しい心配をしながら、貴文さんはまた、ぷちんぷちんと電気を消す。
「さ、寝よう。僕が羊を数えてあげる」
そして、まだわたしたちの温もりが残る布団に入る。
「羊が一匹、羊が二匹……」
わたしを抱きしめながら羊を数える、柔らかくて、甘い声が鼓膜をくすぐる。
「……ねえ、貴文さん。眠れないときはどうして羊を数えるんでしょう?」
「さあ? きっとなにか云われがあるんでしょうね。今度調べておきます。さ、続きを数えるよ」
「羊が三匹、羊が四匹……」
「……そういえば貴文さん、円周率ってどこまで言える?」
「ずいぶん、唐突ですね?」
「大学のときの友達が言ってたんですけど、今日は15年3月14日だから、3.1415になるんですって」
「そう言えばそうだね。あ、9時26分だと、もっと完璧です」
「ね、その続きの数字は?」
「続き?」
「うん。羊を数えてもらうより、円周率のほうがよく眠れそう」
「そう? 君がそう言うなら、円周率を読み上げるけど。さんてんいちよん、いち、ご、きゅう、に、ご、さん、ご、はち、きゅう、なな、きゅう、さん、に……」
「……」
「さん、はち、よん、ろく」
「……」
「に、ろく、よん、さん、さん」
「ねえ、貴文さん」
「ん?」
「それ、覚えてるの?」
「……うーん」
「まさか、計算してるの?」
「君が寝付くくらいまでの数字なら、覚えてます。でも、その先になると、暗算かな」
「……暗算!?」
「ここで計算機を出すわけにいかないでしょう?」
「そりゃあそうですけど……」
「ねえ、あかりさん」
「はい?」
「おしゃべりしてると、ますます眠れないよ? 明日は新居の家具を見に行くんでしょ? 先方と約束もしているし。それとも、クマをつけて行くの?」
「……だって眠れないんだもん」
「……じゃあ、荒療治で、眠れる魔法、かけてあげようか?」
「そんなの、あるの?」
「軽い運動をしたら、よく眠れるようになります」
そう言って、貴文さんはそっとわたしの上に体を載せてくる。
「ちょ、明日早いのに……」
「どうせ眠れないんでしょう? それに僕も目が冴えてきたし」
「え、でも」
「責任、とってもらえます?」
「うう……」
「さすがに今日は長くしないですし、眠たくなったら、途中で眠ってもいいですからね」
そう言いながら貴文さんは優しくキスをしてきた。わたしは、なんだかんだと言いつつ、やっぱり好きな人に抱きしめられるのは嬉しいものだから、それに答えるようにそっと瞼を閉じたのだった。

それから。
ミルクも羊も円周率も、いったいなんだったんだって言うくらい、その「軽い運動」には安眠効果があった。ありまくった。
いつもよりだいぶ短かったはずなのに(有言実行!)終わった直後にほどよい疲労感がわたしたちを包み込み、それこそ、アレな話だけど、下着もつけずにこっくりと寝込んでしまったのだった。
そんなわけだから、びっくりしたのは起きてからだ。
「あかりさん、すごい格好になってますよ」
「貴文さんだって」
おたがい、どう盛り上がったのか、パジャマの上着だけがようやく体にひっかかっているだけの状態だ。
「あ、これ、あかりさんのパ……」
「ちょ! やだ!」
「そんな、ひったくらなくても。せっかく見つけてあげたのに。ねえ、僕の、そっちにいってない?」
「やだ、まだ着てないんですからめくらないでください!!」
「え? どうして?」
「……! 恥ずかしいんです!」
「いまさら?」
「……」
そんなふうにあわただしく、最低限の身なりを整えたあと、ようやく一息ついて、ふたりして柱に留めた一葉の写真をみつめた。先週、結婚式のための衣装合わせで撮ったポラロイドだ。
「……すごいね。君がこれを作ったときには、まさか、ほんとうに僕が君の隣に立てるなんて思ってなかった」
「わたしは。あのころ、若王子先生とこうなれたらいいなって思いながら、一針ずつ縫いましたよ?」
「……そう。ありがとう」
そう言って、貴文さんは目を細めてわたしを見つめる。
「あの、あんまり見ないでください。なんだか恥ずかしいです」
わたしが言うと、貴文さんは再び写真に視線をやる。
そして、しみじみと。
「今のあかりさん、この写真とは別人みたいですねえ」
……は!? この流れで、そんなこと、言う?
「た、貴文さんだって、この写真だと王子様みたいなのに……!」
「王子様じゃないと嫌?」
「ううん。そんなこと、ないけど」
「僕だってです。それに、朝のあかりさんを見られるのは、僕だけの特権ですしね。さあ、今日はまた、忙しくなりますよ。そろそろ、準備しないとね」
そう言って貴文さんは、極上の笑顔で微笑んだ。
……やっぱりこの人、王子様だ。

三月の朝の光は、わたしたちの全てを照らし出す。
どんなあなたでも大好きだし、あなただって、どんなわたしでも愛してくれる。
「やや、ごめんね、今日はミルクがないんです。スペシャル猫缶開けますから、これで勘弁してください」
猫にまとわりつかれながらごはんを用意している、わたしのよりずいぶん大きい背中にも、春の光が降り注ぐ。
まぶしい。
目を細めたら、振り返った貴文さんに見咎められて、「コラ。もう起きないと」と、たしなめられた。
「違うのに」
口答えしながらようやく起き上がると、足元には貴文さんのパンツ……
へ?
「ちょ、貴文さん、パンツは!?」
「なかったから、そのままパジャマ着ちゃいました」
「ええー!?」
「どうせすぐ着替えるし」
「そういう問題?」
「案外開放感があって悪くないんですよ。男の特権ですね」
「はぁ……」
王子様スマイルで、堂々とノーパンの主張をする恋人にあきれながら、こういうところも実は好きなんだよなぁ、なんて思う、早春の朝だった。





おわり

20140314

19:33