一年に一度、お正月より自分の誕生日よりじゅうような日です。
若王子先生、また、一緒に素敵な一年をすごしましょう^^
さて。この日にむけてだそうと思ってたほのぼの幸せネタがあるんですが、いつものごとくまにあわず、あと、職場で急に人員抜けがあって拘束時間が長くなったり、あとわりと近場で土砂災害があったりして気持ちが落ち込んだりして……
ここまでは言い訳ですが!!
とりあえず!
間に合わなくてすみませんでした……
先生……お祝いしてあげたかったよう……
って、かわりじゃないですけど、手慰みに書いたどぉでもいいような中途半端なえろテキストおいとき……ますね……
某せんせぇにだけ見せるつもりで書いたんでそれこそもうてきとーなアレなんですが、なにもないよりましかなって置いときます。こう言ってるのは誘い受けじゃなくて、本気でしょうもないとわかってるし、あと、ここにえろ絡みのものおくのが恥ずかしいからなんです。なんというか、先生を愛して早、6年です。最近ではこう、生々しい妄想を人様にお聞かせするのがはずかしくてはずかしくて……
さて。これも災害前にはできてるはずだったんですが、いろいろあって遅くなってしまった。ごめんね、某せんせぇ。
あと、基本、若王子先生はセクハラするような人じゃないし、がっこうでしちゃったりとかしないって信じてますが、ほら、これは二次創作だから^^
あと、いわずもがな、R18なので、耐性ある方だけね^^ 頼みます。
では、下に隠しておきますね。
恥ずかしいから、あまりみないでください/////
夏休みのおもいで(R18)
窓の外からは、金属バットがボールを跳ね飛ばす音が聞こえる。
それから、ブラスバンド部の演奏の音。
でもそれは、とてもかすかで、ここはとても静かだ。
先生の大きくて、少し冷たい手のひらが、ワンピースの制服の裾からそっとしのびこんでくる。
ショーツの上から、ふわりとヒップを撫でられただけで、おかしなくらい、背中がたわんだ。
夏休みの、化学準備室。ほとんどひとけのない校舎の、さらにひとけのない端っこ。
もちろんはじめは、こんなことをするつもりなんてなかった。ただ先生の顔が見たくて、化学準備室に顔を出した。
先生に会うのはインターハイ後、はじめてだから二週間ぶりだ。
インターハイでは、ぜったいに優勝したかった。
努力もしたけれど、それだけじゃない。努力の理由は先生にあったし、三年間を先生とともに過ごした。その集大成なのだ。
けれど、努力およばず、結果は準優勝だった。
最後の最後の勝負で負けて帰ってきたわたしを、競技場のひとけのない廊下で先生は待ってくれていた。
(心配、かけちゃだめだ)
そう思って、目があった瞬間は笑ったけれど、先生の「おかえり。よく頑張ったね」の一言で崩れ落ちた。
「せん、せい……」
子どものようにしゃくりあげて泣きはじめたわたしを、若王子先生は、黙って抱きしめてくれた。
その腕の優しさが、三年間の努力や苦労、思い出、それから、先生への思いまでもを受け止めてくれるようで、それがまた切なくて、長く、長く泣いた。
わたしたちの帰りが遅いことを心配したのだろう、二年生の新部長が迎えにきてくれてからも、それでもわたしは先生にとりすがって泣き続けた。
そのときは良かったのだ。けれど、『恥ずかしい』の気持ちは、あとからじわりとやってくる。
ふだんのわたしは、あまり感情的になったりはしない。あのときは、いろいろ感極まって、リミッターがはずれてしまったのだ。
(先生、あきれてしまわなかっただろうか)
そんなふうに不安にも思ったし、なんとなく照れくさいのもあって、この二週間、自分からは先生に連絡をとらなかった。さらに先週、先生から電話で誘われた臨海公園へのデートも、気恥ずかしさが勝ったせいで、とくに用事もないのに断ってしまったのだった。
ちなみに、だ。先生とわたしがつきあってからは、もう一年になる。
誰にもないしょで、こっそりとわたしたちは、 恋人同士だ。
だから、キスもするし、ほんのときどきは、秘密のスキンシップをしたりもする。
とはいえ、わたしたちにはなかなか、機会がない。先生はわたしの担任だから、それこそ、休みのとき以外は毎日でも会うのだけど、あんがい、ふたりきりになるのはむずかしい。
これまで、ふたりの秘密を持つときは、先生のアパートでだった。だけどある日、部屋の窓からぼんやりと外を眺めていたら、はね学生徒の後ろ姿をみつけてしまったのだ。
そりゃあそうだ。先生がこの部屋に決めたのは『通勤便利』だったからで(もちろん、もうひとつの理由に『家賃格安』もある)、このあたりにははね学生がうじゃうじゃといる。
あまりひんぱんに出入りして見つかりでもしたらまずいから、それ以来、なんとなく訪れる回数は減った。
一度だけ、郊外に出かけて、そういうホテルに行ったこともあるけれど、あのときは先生が落ち込んでしまってあまりいい一日にはならなかった。
わたしは当然にしても、どうやら先生もこの手の施設は初めてだったようで、いかにもな内装やアメニティにショックをうけて、しきりに「君をこんなところに連れてきてごめん」と言っては、しょんぼりとしていた。
きっとあのときの先生は、教育者の観点から、自分のしていることへの罪悪感でいっぱいになっていたのじゃないかと思う。
それならば、だ。
いや、それこそ。
「こんなところで、ほんとに、いいの?」
「ん。大丈夫。誰も来ないよ」
……ううん、そんな問題じゃなくて。
「学校でだなんて、ほんとうに平気ですか?」
そう尋ねると、先生は、すこーしだけ考えるそぶりをしてから、
「……夏の……。青春の、思い出です」
と言いながら、あらためて、わたしのからだをきゅっと抱きしめてきたのだった。
「……嫌じゃない?」
「……ん……」
準備室の壁にかかったワンピースの制服を眺めながら、わたしは先生に甘く、とろかされるようなキスをされていた。
ちなみに、制服は先生が丁寧にわたしから脱がしたあと「皺になったら、困るから」と、妙にそこだけ律儀に、そして理性的に、一時中断をしてまでも、ハンガーにかけてくれた。
でも、だ。
言わせてもらうと、せっかくのその気遣いもすでに無駄になっている。
なぜなら、制服を着ているあいだに、さんざんもう、先生にはくるくるとひっくり返されたりもみくちゃにされたりと、好きなようにされてしまって、すでにたくさんの皺ができている。きっと、もうあの制服は、クリーニングにださないとだめだと思う。
優しいのに、ちょっと抜けてる。
そういうところが、ものすごく好きで、とんでもなく愛おしい。
「先生、大好き……」
そう言うと、先生は、すこし笑って、そう、それならよかった、と小さく、息をはいた。
「え?」
「あ、いや。その」
「?」
「……君に、避けられてると思ってたから……」
そう言うと、先生は動きをとめて、じっとわたしを見つめた。
「わたしが? 先生を?」
「だって、二週間も会わなかったのは初めてじゃないですか? デートに誘ったときも断られたし……」
「あ、その、それはちがうの。その。インターハイのとき、すごく泣いちゃって……あれが恥ずかしかったからすこし会いづらくなったんです」
「……そんなことで?」
「ごめんなさい。まさか、先生がそんなふうに思ってたなんて……」
「なんだ。知らないうちに僕が何かしたのかと思ってました」
「……そんな」
「でも、安心、した」
そう言ってふわりと先生は微笑んで、ふたたび、わたしの胸や、おなかをやわらかく撫ではじめた。
「先生……」
「君の顔、二週間も見なくて、淋しかった」
「……わたし、も……」
この部屋の備品である古いけど柔らかいソファの上には、先生の白衣を敷いてあるから、コットンの感触がきもちいい。
裸の背中にも大好きな先生の気配を感じて、くすぐったくなる。
学校でこんなこと、してるのに。
いけないことだと思うけど、うれしい。
先生の首もとに腕を回して、抱きしめる。そこで、ふと、わたしだけが裸なことに気がづいた。
「ねぇ、先生」
「ん? なに?」
「先生はシャツ、脱がないの?」
「はい。脱ぎません」
あまりにきっぱりとした答えに、びっくりする。
「え、どうして?」
「ここ、職場ですし、さすがにね」
「へっ?」
じゃあ、わたしは? ここ、学び舎なんですけど……。あまりの理由に呆れて言葉を失うと、先生が色気を含ませて微笑んだ。
「でも、こういうのも、いいでしょ?」
「なにが?」
「学校の先生に、校舎内でこんなことされてる感じ。青春のドキドキって感じがしない?」
認めたく、ないけど。たしかに。
「……する、かも」
「ね?」
今日も、先生はブルーのシャツを着ている。先生の夏の定番、ブルーのシャツ。
そういえば、インターハイの決勝の日も、このシャツの腕に抱きしめられたん、だっけ。
先生は『先生』だけど、恋人。
いま、わたしを裸にしているのは、『先生』なんだろうか、『恋人』なんだろうか。
……そんなこと、どっちでもいい。
肩書きなんてどうでもよくて、先生が先生ならそれでいい。
そんなことを考えながらうっとりと先生の指先にからだを任せていると、また、とろけるようなキスをされた。
(……もう、先生が、ほしい、かも……)
濡れたくちびるが離れる瞬間に、じぃっと先生を見つめた。
先生の目も、うるんでいる。
「君が、欲しい」
「はい、わたし、も」
「でも」
「はい」
「……今日は、持って、ないんだ」
「……なにを、ですか?」
「その、コンドーム」
「……え!」
そのままわたしたちは、しばらくのあいだ、見つめあった。
「……職員室に行けば、あるんですけど」
「職員室?」
「はい。休み前の持ち物検査で没収したものが」
「……」
「あ、でも。終業式の日に返そうとしたら『いいよ、若ちゃんにあげる』って言われたから、別に使ってもいいと思うんですよ」
「……」
「持ってこようか?」
「……ううん、いい」
「じゃあ、今日はやめる?」
「それは……や、だ……」
「じゃあ、やっぱり、ちょっと取ってきます。ちょっと待ってて」
と言って、先生はわたしから離れて、少し乱れたシャツの胸元を合わせはじめた。
「待って、先生」
わたしは、思わず先生の胸に取りすがった。
「ん?」
「あの、あの、わた、し」
「はい」
……正直、待てない、というのがほんとうのところだ。
さんざん、先生に甘やかされて、とろとろになっているこの状態で、ほんの少しだとしても一人で放置されるなんて、とても耐えられそうにない。
「その、」
「?」
「……」
「小波さん?」
「うぅ……」
引き止めたまではよかったけれど、でも、どうすればいいかわからない。素直な気持ちを言葉にしてしまうと、はしたない女の子だと思われてしまいそうで怖い。
もじもじと言いよどんでいたら、わたしの気持ちを察した先生が、低い声で、ささやくようにたずねてきた。
「……もしかして、待てない?」
うつむいたままで、うなずく。
「いますぐ、したい?」
もう一度、うなずく。
「僕の理性は、信用ならないよ?」
「え?」
「こういう、ことです」
再び、ソファに押しつけられる。
「ここで踏みとどまれるのが『先生』なんでしょうけど」
先生の目が、まっすぐにわたしを射る。
「僕は、踏みとどまらない。だめな『先生』だね」
「……ちが、」
「ちがわないよ」
「ううん、やっぱり、ちがう。先生は、『先生』だけど、わたしたち、恋人、どうし、だから」
「うん」
「恋人同士、の、スキンシップなら、ありなんじゃ……」
「小波、さん」
全部を言わせてもらえないまま、つづきの言葉は、先生のくちびるに、すべて飲みこまれてしまった。
やっぱり、先生、ほんとに脱がないんだな、なんて。ぼんやりと思っている。
はだけたシャツの胸元がいろっぽくて、目がくらみそうだ。
ネクタイだけは、わたしが外した。
「大丈夫?」
「……どきどき、する」
「僕も」
「ほんとに? 先生も?」
「……あたりまえです。君とこうするときは、いつでもどきどきするよ」
そう言って、先生はわたしのあたまをぽんぽん、と軽く撫でる。
そして、片手でベルトのバックルをはずしはじめた。
やっぱり学校でこんなことをするなんて、すごくいけない気がするなぁ、なんて、思う。でも、そんなふうに考えているのは、わたしのなかのもう一人のわたしで、いま、ここにいるわたしは、ただただ、先生を待ち望んでいる。
「いくよ?」
「え、もう?」
「あれ? まだだめだった?」
「あ、ううん、そうじゃ、なくて」
そっ、か。今日は『準備』がないから、このときに肌を離さないで、すむんだ。
「せん、せ。きて」
「うん……」
とたん、いつもよりすべらかで、熱っぽい先生が、わたしに押し入ってきた。
「あ、あぁっ、んっ……」
ぞくぞく、と、ものすごい快楽が背筋を走る。はじめての感触に身を縮めて、目をぎゅっと閉じた。
「あ、小波さん、静かに」
「だっ、だって」
あまりにも気持ちがよすぎて、この先、どうなってしまうかわからなくて、こわい。
「ごめん、無理言って」
「は、はい……あの、それなら、できるだけ、ゆっくり……して……」
「……努力は、します」
遠慮がちに、先生が動きはじめる。
きし、きし。ソファがきしむ。
そういえばこのソファ、ずいぶん古いけど、二人分の重さに耐えられるんだろうか。
……でもきっと、平気。今日の先生は、とびっきりやさしい、から。
「あっ、あ……っ、ん……」
声がでるたび、先生のくちびるで塞がれる。
「小波さん……すごく……いい……」
先生の掠れた声をきくと、からだの真ん中あたりがとろけてしまいそうになる。気が遠くなりそうだ。
「あ、あ、せん、せ……」
「きもち、いい?」
「ん……」
「ねぇ、もう、僕……そんなに持ちそうにないんだけど……、君は、まだだよね?」
……きもちはいいけど、でも、それは、まだかも。でも、幸せな気持ちで満たされているから、もう、これでじゅうぶんだ。
「……わたしはいい、から、先生、いって」
「そんなの、だめだよ」
「え? や……っ!」
先生は、それまで一定に動かしていた腰を一瞬とめたかと思うと、今度はゆるやかに回転させはじめた。
そんなの、されたら、声、でるに決まってる……!
「あぁぁぁっ」
抑えきれず、声をたてたわたしを、先生がいさめる。
「小波さん、静かにね?」
「えっ、あっ、あっ、それ、や……、むり、……っ、せん、もう、やめ、て」
「だめ。おしおき、です」
「なんの!?」
「僕を、二週間もほったらかした、罰」
そうこうしているうちに、先生がすこし背を縮めて、わたしの胸の先にくちびるをつけてきた。
ただでさえ、今日は生身の先生をより強く感じてへんになりそうなのに、そんなことまでされると、もう、わけがわからないほどの快感に包まれて、制御不能に近い感覚に翻弄される。
「う、あっ……もぉ、だめ、むね、だめ……」
「もう少し、こらえて。じゃないとおしおきにならないでしょ?」
おしおきだなんて言うくせに、すべての所作は明らかに優しくて、でも、それがいまはつらい。
「せ、んせ、おねがい、はやく、いって」
「いっしょに、いこうね?」
「いい、から、そんなの、いいから!」
「よくない」
そう言って、今度はわたしのいちばん敏感な器官に、指をのばす。
「それ、だめ、ほんとに、声、でちゃ……っ」
「がまんして」
「や、や、むり……っ」
どんなにゆるやかにそっと撫でられても、そこだけは、無理だ。理性なんて働かない。
触れるか触れないかくらいの圧なのに、敏感になりすぎた突端は、空気の動きすらも快感として捉えてしまう。
先生の指の動きにあわせて、わたしもあっという間にたかまってゆく。
「あ、あっ、せん、せ、もう、わたし、だめ、だめ……」
「いきそう?」
「はい、はい、もう、わたし……」
「うん。じゃあ、いっしょに、いこう」
腰をつなげたまま、指で可愛がられて、さらに、とびきり甘い声で囁かれて、正気でなんていられるわけがない。思わず、我をわすれた。ただただ、この人と離れたくない、それだけで胸がいっぱいになる。
先生の息が、早くなる。わたしの心臓もはやがねを打つようだ。
「せんせい、せん、せい……、わたし、もう、いく……」
「小波、さん……僕、も」
先生が、その瞬間を迎えようとする、そのとき。
わたしは、先生の頬を引き寄せて、とびきり甘えた声で、耳打ちしたのだ。
--おねがい、なかで、だして。
そしてわたしは後のことを知らず、そのまま、果ててしまったのだった。
少し皺がついたままの制服を身につけ終わると、先生のお説教がはじまった。
「ハァ、なげかわしい! 最近の青少年は後先考えないから困ります」
「……」
「僕が大人だったからよかったものの、そうじゃなかったら大変なことになるところです」
「……」
じわりと冷えていく頭のかたすみで、「たしかに先生でよかった」と思うのも事実だ。
あとで思うと、いくら夢中になっていたとはいえ、あんなことを口走るなんて、自分で自分が信じられない。
「君は、さっき、すごく危ないところでした」
「はぁ……」
「危機一髪で回避できたんですよ。僕はともかく、君は学生なんだし、女の子なんだから、もっと自分を大切にして」
たしかに、後先考えないことを口走ってしまったのはわたしだし、そもそも、すぐにとお願いしたのもわたしからだ。そりゃあ、言われても仕方ない、けど……。
でも……。
でも!
「……せいの、せいだもん……」
「ん?」
「先生のせいだもん!」
逆ギレくらい許してほしい。それに、やっぱり少しは、先生のせいだとも思う。最初から避妊具がないのをわかっていたのにはじめたのは先生だし、わたしを気持ちよくさせすぎたのも、先生だし。
「そもそも、ことの発端は先生からじゃないですか! わたしからは誘ってないし!」
「小波さん……?」
「先生の、ばか! ばか!」
「ばか……?」
「もう、夏休み中は会わない!」
「ちょっと、小波さん」
「こんなに恥ずかしい目にあわせといて、恥ずかしいことも言わせといて、つぎ、どんな顔で会えばいいんですか!」
「ちょっと、落ち着いて」
「やだ! もう帰ります」
言っているうちに、どんどん情けなくなってきて、椅子から立ち上がると、かばんをつかんだ。
「待って!」
そんなわたしを、先生が背中からぎゅっと抱きしめる。
「小波さん、ほんとにしばらく、会わないつもり?」
「会わない!」
「……僕は嫌だよ」
静かに、諭すように、先生が言う。
「君に会えない二週間は長かった。せめて一週間に一度は、君の顔を見ないと」
「見ないと?」
「次はここで、もっとすごいこと、しますよ?」
「へ!?」
「ってのは冗談ですけど……」
「ほんとに、冗談ですよね?」
「小波さんがいいなら、その限りじゃないですけど」
「だっ、だめに決まってます!」
「ですよね……」
いいって言えば、はたしてどんなことをされるんだろう。すこし気になるような……。いやいやいや、もう、こういうのは一回でいいから!
一人でノリツッコミ(?)をしていると、先生が甘い声を出した。
「ねえ、小波さん、仲直りしませんか? 仲直りのキスしても、いい?」
そう言うと、わたしの返事もきかず、先生はさも当然のように顔を近づけてくる。
今日、何度目のキスだろう。もう、数え切れないくらいしているのに飽きることなんてなくて、そのたび、幸せにつつまれる。そして、あっという間に、わたしの機嫌は治ってしまうのだ。
部屋には、フラスコがお湯を沸かす音と、コーヒーのいい香りが満ちている。
わたしは、ソファに深く腰掛け、先生の淹れてくれたコーヒーを飲んでいる。
なにげなく外を見ると、空が夕陽で赤く染まっていた。
わたしの視線を追いかけるように、先生も窓の外に顔を向ける。
いつのまにか、ブラスバンドの音楽も止み、グラウンドにも、人影ひとつ見当たらなくなっていた。
「もう、夕方だね」
「はい」
「そろそろ、君を送らなくちゃ」
「そうですね。……やだ、先生、じっと見たりして、なんですか?」
「可愛いなぁ、と思って」
……先生の突拍子もないこんな調子にはだいぶ慣れてはきたけど、やっぱり、いまだに面食らうのは確かだ。
「ちょ、あんまり見ないでください」
「ん? どうして?」
「あの、恥ずかしい、から」
「え? 恥ずかしがることなんて、なにもないです。君は、案外恥ずかしがり屋さんですね? 結構、大胆なことも言うのに」
「……!?」
「あ、なんでもないです。気にしないで」
「……セクハラ先生」
「へ?」
「なんでもないです! あつっ!」
動揺したままマグカップにくちびるをつけたら、思わぬ熱さに驚いた。
「あ、フーフーしなかったでしょ。まったく、君って人は。僕がついていないと、ダメですねえ」
「……」
「よし。決めました。来週の日曜日は、課外授業です」
「へ?」
「ただし、生徒は君だけ。僕のアパートで、青少年の正しい夏休みの過ごし方についてのお勉強会です」
「なんですか、それ」
「っていうのは、まあ、きっかけのようなもので。僕が、来週も君に会いたいから、デートの約束です」
「……」
「あれ。ダメでしたか?」
「ダメじゃない、ですよ」
「うん、よかった。課外授業なら、生徒が僕の部屋に来てもおかしくはないし」
そう言い放った先生の顔は、今で言う、まさに『ドヤ顔』そのものだ。
「……それは、さすがにおかしいと思います。いろんな意味で」
「ん? 変でしたか?」
「でも、デートなら平気だと思います。生徒に見えないような、大人っぽい服を着て行きますね」
「じゃ、あれ着てきてくださいよ。このあいだ一緒に買った、短いスカートの服」
「……セクハラ先生……」
「え? 」
「……なんでもないです。わわ、あつっ!!」
「やや! だからあれほど」
ふたたび熱さに驚いているわたしを、先生は呆れたように、でも優しげに、見つめている。
その視線が心地よくて『そろそろ帰ります』の一言がなかなか言えず、わたしは、わざとゆっくり、コーヒーを飲んでいる。
おわり